2011年12月11日日曜日

ビジネスプランはどこに消えた?

6月末に前職を辞め、少しの充電ののちに起業準備を進めている。そう、まだ準備中。。。それもそうで、その間に2つもビジネスプランを葬っている。

今はやっと3度目の正直で走り出していて、産みの苦しみを楽しんでいるところなのだが、身近な友人以外には未だに「例のプラン、どうなった?」と聞かれるので、経緯というか、ある種の学びを少し書いておこうと思う。




■「それを参入障壁と呼ぶんだよ」

会社を辞める前に考えていた1つ目のビジネプランは、健康診断絡みというか、予防医療的な領域のものだったのだが、結局は具体的にサービスを作り始めるにも至らなかった。

以前ブログで「ヘルスケアビジネスの難しさ」というエントリーを書いたのだが、そこで「多くの人は健康になりたいなんて本気で思っていない」とか「ひとつのビジネスプランを定義した瞬間に、(略) 意図していない、想定していないところで敵を作ってしまう」と書いた。

で、これってやっぱり真実だったなぁと痛感したという(笑)

ちょっと"頭のよい人たち(自分に対する皮肉です・・・)"が考えるビジネスプランなんて、既に数えきれない人たちがトライしていて、でも大きく成功したものがないということは、やっぱりそれなりの理由があるんだよね。

僕が考えたサービスに対して個人のニーズがあることには一定の自信があったのだけど、ヘルスケアの世界はメディカルの世界との境界線に近づけば近づくほど、普通では超えられない高い壁にぶち当たってしまうということに、過去にトライした方々から話を聞いて気付かされたわけだ。

個人レベルで健康にはなろうとしていなくても、組織レベルでは医療費を減らすために人々に健康になってもらわなくちゃならんと思っている人はいるはずだと考えていたが、そこも意外とそうでもなかった。

言われてみれば「さもありなん」なのだが、組織のミッションとその組織内での個人のモチベーションというのは簡単に一致しないんだよね。正しいビジネスロジックが、必ず機能するとは限らないのだ。

仕事を進めるためには組織のニーズと個人のニーズの両方を満たすこと。これ、よく自分でも言っていたなぁ。。。

ニーズがあるからにはいつかは誰かが成功するとは思うのだが、「健康」の領域というのはアイデア一つでなんとかなるものではなく、人脈・経験・資金・アイデアのうち複数のものが備わっていないとなかなかブレイクスルーできん領域だなぁと改めて思い知った。

こんな話を前職の先輩に話したら、「お前、それを参入障壁って呼ぶんだよ」と笑われた(笑)

はい、おっしゃるとおりですね。。。


■たった1人、たった1人でいいんだけど・・・

2つ目のビジネスプランは2ヶ月くらいスタディをし、開発にも入ったところで、ストップした。こちらはかなり本腰を入れて準備をしていたので、ストップした時はさすがに2日間ほど意気消沈した。(開発をお手伝いいただいていた皆さんには迷惑をかけてしまったし・・・)

こちらは生活習慣病(やその予備軍)の人たち向けのWebサービスだったのだが、スタディをするにつれて想定していたよりマーケットが小さすぎるということで、勇気を持ってストップした。

何があったかというと、たった1人でもヘビーユーザーになってくれそうな人を見つけたかったのだが、それが最後まで見つからなかったということだ。「アントレプレナーの教科書」に書いてあるとおり、1人目の客を見つけることは本当に重要なのだが、そこになかなか至らなかった。


(この本は、起業する人、新規事業を立ち上げる人などに激しくオススメです!
長くて飽きるけど、最初の章を読むだけでも元は取れる)

ある意味、正しいステップを踏んでの結論だったわけなのだが、ターゲットが生活習慣病患者(とその家族)ということもあり、ヒアリング対象を見つけて結論を出すまでに時間がかかってしまった。ストップするにしても、あと2〜3週間は早く気付けたと思うんだな。

何人か専門の医師の方にヒアリングをしたが、さすがに患者さんは簡単に紹介してくれない。知人のツテで患者さんにヒアリングできたものの、年齢などの面でターゲットからは大きく外れていた。

その間、お会いできた医師や管理栄養士の方からは「そういうサービスあったらいいね!ぜひ作って欲しいな」と言われ続けたこともあり、問題の本質になかなか気づけなかった。

また、先行して立ち上がっていた類似の競合サイトがWebの作りがあまりにひどかったため、「Webのユーザービリティさえ上がればうまくいく」とそちらの検討ばかりに頭がいってしまった。

結局、生活習慣病関連の某NPOのセミナーに参加し、会場のセッティングを手伝ったり、ホームページ作成のお手伝いをしたりして、個人的な信頼を経ることでやっと患者さんの紹介に至ったわけだ。

そこで、コンセプトレベルでは「いいね!」となっていたものを、より具体的なサービスイメージに落として説明でき、結果、思ったほど使われないであろうことを悟るに至った。

これをやっていなければサービスの開発をそのまま続けていたのではないかと思うとホントぞっとする。(今、開発しているサービスの立ち上げ資金も枯渇していただろう・・・)

いくら対象となる潜在顧客が数百万人いたところで、1人の「心底そのサービスを欲する」ユーザーを捕まえられなければやっぱりダメなんだと痛感した経験だった。


■書を捨てよ、町へ出よう

まあ、それでも今3つ目のビジネスプランの開発に至っているのは、前の2つの活動があったからこそなのだ。

アイデアそのものは早い段階で少し検討したものだったが、その時は僕自身があまりピンとこなかった。が、前のプランのスタディー中にお会いした方からの発見と、素人なりにたくさんのWebサービスを見てモノの見方が多少変わったことで、ぜひ実現してみたいと思うようになった。

ビジネスプランなんてものは机の上で考えているだけでは所詮プランのままなので、ヒントを得る上でも、プランの確からしさを調べる上でも、たくさん人に話してナンボだなぁと思う今日この頃、である。

まあ、実際のところは「書を捨てよ」とはいかず、たくさん書を読み込んでいるからこそ気づくことも多いのだけど、アイデアを実現可能なプランに進化させるには、外に出なくちゃね、と思う。

ヘルスケアについては、引き続きスタディーはしていこうと思っているけれど、まずは新しいサービスをきっちり立ち上げることだ。

決して成功が約束されたサービスではないけれど、ワクワクしてくれている人たちもたくさんいるし、ある方に「僕らしいサービス」と言われたことも励みになっている。

うん、新しいアイデアには今まで以上に想いは乗っているし、ロマンも感じている。

やりますよ!
迷惑ばかりかけてますが、引き続き応援よろしくです!

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